院生さんインタビュー Vol.1-1|喪失からの回復を支える“日常の行動”とは

前回お知らせしたとおり、新企画が始動します!
その名も…

「院生さんに聞いてみよう」のコーナー!(そのまんまですね😅)
本研究室の院生さんに、研究のことから日常生活、キャリアのことまで、いろいろ聞いてきましたよ~💪🏻
記念すべき初回は、博士前期課程2年生(以下M2)のS.Mさんへのインタビューです。

S.Mさんは、学部時代に臨床死生学・老年行動学研究室(以下臨老)に所属し、院進を機に認知行動工学研究室へ移動しました。現在は公認心理師プログラムも履修しています。
今週は「研究編」として、どのような研究に取り組んでいるのか、研究テーマをどのように考えているのか、そして研究室の違いについて深掘りします👀

おまけとして、学系選びに悩んでいる方へのアドバイスも載せていますので、ぜひ最後までご覧ください。
来週は「生活編」、再来週は「キャリア編」を掲載予定です。
それぞれ、研究室選びや院進に悩んでいる方へのアドバイスも紹介していきます。

それでは本編スタートです🎬

プロフィール

S.Mさん

博士前期課程2年生。
学部時代は臨床死生学・老年行動学研究室に所属し、大学院から認知行動工学研究室へ。現在は公認心理師プログラムも履修しながら、喪失経験からの回復について研究しています。
学部生の時までは、inspiriual voicesというアカペラサークルと、大阪大学お嬢様部というサークルに所属していました。趣味は、カメラと可愛い服の収集です。

ーはじめに、どのようなことに興味があり、どのような研究をしているのか教えてください。

大切な人が亡くなるといった「喪失」について関心があります。
その中でも、喪失を経験した人がどうやって回復していくのかに興味があります。
研究としては、喪失を経験した人の行動変容について見たいと思っています。特に、個人的な努力や日常生活の変化が、回復にどのように影響していくのかを知りたいです。

ーその内容に興味を持ったきっかけはありますか?

学部生の時に母親が亡くなったことがきっかけです。
その時に自分自身も落ち込んで、病院にも行きました。その中で、「自分はこれからどうやって回復していくんだろう」と思ったことが、今の関心につながっています。

ー学部生のころは臨老にいたとお聞きしました。ずっと同じテーマで研究を続けていますか?

そうですね。喪失を対象にしている点では同じです。ただ、学部生の時は喪失を経験した人が行っている「気晴らし」について研究をしていました。回復の過程そのものというよりは、どうすれば気がまぎれるかというところを見ていたんですよね。今はそこから少し視点が変わって、「どうすれば回復するのか」「どのような日常生活の要因が回復の助けになるのか」を見たいと思っています。

ー自身の研究について、どのように社会の役に立ってほしいという思いはありますか?

同じような経験をした人たちが回復をする上での道しるべになればいいなというのは思っています。喪失を経験した人が研究を見て、「こういう風に行動を変えていけばいいんだ」と思うのもいいと思いますし、臨床現場の方々が喪失を経験した人に関わる時に、「こういう行動を変えてみるといいかもしれない」とアドバイスできるようになればいいなと思っています。

ー「自身の興味」を「研究テーマ」にするときに意識していることを教えてください。

社会に何ができるのかを意識するのが大事だと思っています。研究は個人の疑問からスタートするものだと思うのですが、個人の疑問を調べて解決して終わりだったら、それは研究にはならないなと思っていて。社会にとって未知であることっていうのもそうですし、あとはその研究が発表されることで社会の何が変わるのかは研究テーマにする上で考えるところではあるかなと思います。

ー社会の役に立つという判断は難しいと思います。自分が役に立つと思うならいいのか、それともなにか別の基準があるんでしょうか。

私は割と臨床が好きな人間なので、臨床現場でどうやったら役に立つのかなというのは考えています。心理師さんの役に立てる研究になればいいなというのも考えていたかもしれないですね。あとは臨老にいた時に心理師をされていた方に研究テーマの相談をすることがありました。その方に「臨床現場でもしかしたら役に立つかもしれないね」といってもらったことが大きかったかなと思います。

ー研究で面白いと感じることはありますか?

卒論の時、自分が想像していなかった回答が返ってくるのが面白いなと思いました。「どういう気晴らしをしてますか」という短文自由記述式のアンケートを取ったのですが、その中に「色々なスーパーを巡って一番安い総菜を見つける」という回答があったんです。どこに分類すればいいんだという難しさも含め、それがとても面白かったです。

ー逆に研究で感じた困難、自分にとっての壁になったものはありますか?

計画を立てることが一番大変だと思います。計画を立てるときに、実現可能性ばかりを考えると自分のやりたいことが分からなくなっていくっていうのがあって。自分のやりたいことと実現可能性の天秤というか、バランスをとることが難しいというのは最近思っているところです。結構先生のアドバイスで計画がひっくり返ることもあります。

ーすべて先生の言うとおりにするというのは少し違うようにも感じます。何か意識していることはありますか?

先生からは「本当に自分が何をしたいのかを明確にしたほうが良い」とアドバイスをもらいました。自分のやりたいことの核が明確になっていれば、先生のアドバイスに対して「ここは従えない」、「これは先生の言うとおりにしたほうが良い」という判断の基準も明確になります。そうすることでうまく判断しながら進んでいけるのかなと思います。

ー研究前と研究後で研究に対して印象は変わりましたか?

繰り返しになってしまうんですが、やっぱり計画を立てることが想像以上に大変でした。大学に入る前から学部2年生のころまでは、研究室に入ればすでに研究があって、そこで動いていくものだと思っていました。色々自由に決めさせてもらえているからこその悩みかもしれないんですが、自分で計画を立てなきゃいけない、その計画がどんどんひっくり返っていくっていうのをどうマネジメントしていくかということがこんなに大変だとは知らなかったですね。それは臨老の時も一緒で、研究室の内容に合っていたら比較的好きなことをさせてもらえたので、卒論の時も計画を立てることが大変だった記憶があります。

ーこれから卒論を書く人、将来卒論を書く人へのアドバイスをお願いします。

大前提として、早めに動いたほうが良いっていうのはあるんですが、それはちょっとありきたりですね。他には日常生活の中でいろいろ疑問を探すといいというのは思っています。いざ「研究テーマ考えてきて」と言われた時に、普段から「これってどうなんだろう」と考える習慣があると、テーマを見つけやすくなります。卒論に繋がってもいいし、繋がらなくてもいいので日々色々なものを見て疑問を探すことを普段からやっておくと後が楽なのかなって思います。

ー院進でこの研究室を選んだ理由は何ですか?

まず前提として、公認心理師プログラムを履修できることがありました。
今から逆算して考えると、「行動の変化を見たかった」というのはあるかもしれないですね。認知行動工学は行動や認知特性を見ることが多いです。私自身の研究でも、「どういう行動が回復に寄与するのか」を見たいという思いがあったので、今思えばそれも理由の一つだったと思います。臨老の臨床死生学はかなり死生学について幅広く扱っています。気持ちの面も見ますが、行動を中心に見るかというと、少し違う感じです。守備範囲とは少しずれているというか。
あとは、行動経済学の考え方も面白いと思っていました。人間関係や人の行動に、利得・損失、コストといった概念があるところを興味深く思ったというのもあります。

ー認知行動工学研究室の強みや、来てよかったことはありますか?

まず、実習との両立がしやすいので、公認心理師を目指す人にはおすすめです。それから、行動経済学の見方を学べたことは大きいと思っています。人の行動を利得・損失のフレームで見たり、「今この行動を取っているのは現在バイアスがかかっているからだ」と考えたり、そういう新しい見方を自分の中に落とし込めたのは、すごく良かったです。

ー逆に弱みや、少し後悔していることがあれば教えてください。

弱みとしては、作り立ての研究室で、作り立ての学問のようなところもあるので、どうやって勉強して良いかがあまり確立されていない点だと思います。あとは、自由な分難しいところがあるとも思います。去年私が入った時は、いろいろなことを自分たちで考えて進める必要がありました。今振り返ると、大変だったなと思います。

ー学系で悩んでいる人へのアドバイスをお願いします。

そうですね...特に行動学系に来るか悩んでいる方には、「統計は後から学ぶから大丈夫だよ」っていうことを伝えたいです。統計が不安で行動学系を選ばない人が、私の代にもすごい多かったような気がして、それはもったいないなって思っています。やりたいことに忠実になったほうが良いと思うし、あと統計はどこの学系でも使うことはあるので、行動を選んでも選ばなくても関係ないよっていうところですかね。

生活編へ続く

次回は「生活編」をお送りします!
院生の授業、遊び、アルバイト事情などについて聞いてきました。さらに、1日・1週間のスケジュールも大公開します!
お楽しみに!

また、研究室訪問やお問い合わせもお待ちしております!