【院生さんインタビュー Vol.1-3|大学院進学とキャリア】

今回で、S.Mさんへのインタビューは最終回です!

最終回は、キャリア編。学部卒業後の進路には、大きく分けて就職と大学院進学の二つがあります。

人間科学部の大学院進学率は例年約3割です。理系学部と比べると低い一方、文系学部の中では比較的高い割合といえるかもしれません。

「大学院に進学するか、それとも就職するか」は、将来を考えるうえで非常に悩ましい選択です。そこで今回は、大学院進学を決めた理由や、進学してよかったこと・後悔したこと、大学院での経験が就職後にどう生かせるのかについて、S.Mさんに詳しく聞きました。

おまけとして、大学院進学に悩んでいる方へのアドバイスも掲載しています!

これまでの「研究編」「生活編」をまだご覧になっていない方は、ぜひそちらもあわせてご覧ください。

プロフィール

S.Mさん

博士前期課程2年生。一人暮らし。
学部時代は臨床死生学・老年行動学研究室に所属し、大学院から認知行動工学研究室へ。現在は公認心理師プログラムも履修しながら、喪失経験からの回復について研究しています。
学部生の時までは、inspiriual voicesというアカペラサークルと、大阪大学お嬢様部というサークルに所属していました。趣味は、カメラと可愛い服の収集です。

ーまずは大学院に入る前のことをお聞きします。なぜ、大学院に進学しようと決めたのですか?

私の場合は、公認心理師になりたかったからです。最初から大学院に進学することは決めていたので、あまり悩むことなく、ストレートに決めました。

ー大学院に進学する前に就職活動はしましたか?また、進学前に経験しておいた方がよいと思いますか?

私はしていません。
大学院進学前に就職活動をするかどうかは、余裕があれば経験してもよい、というくらいだと思います。
学部3年生の時点で大学院に進学すると決めていたとしても、就職活動を経験しておけば、M1で本格的に就職活動をするときにうまく立ち回れるというメリットはあると思います。
一方で、院進を決めた学部3年生には、時間を比較的自由に使えるという大きなメリットがあります。就職活動以外にも、その時期だからこそできることがいろいろあると思うので、積極的に就職活動をすることを勧めるかというと、そうではないかもしれません。

ー学部3年生で時間があることには、どのようなメリットがありますか?

本当に、たくさん遊んだほうが良いと思います。まだ大学の友達も周りにいますし、サークル活動も佳境に入る時期ではないでしょうか。時間があるからこそ、プライベートに全力を注ぐことも大切だと思いますね。

ー大学院進学を後悔した瞬間はありますか?

やはり、研究が大変だと感じたことですね。
私は研究を進めるための段取りを立てることが苦手です。どう進めればよいのかわからなくなったときに、「自分は研究に向いていないな」と思ったことがあります。
また、先に働き始めた同年代の友達を見ていると、自由に使えるお金があってうらやましいと思うこともありました。

ー反対に、大学院に進学してから、「進学してよかった」と思った瞬間はありますか?

いろいろなことを学べるのがすごく良いと思います。
特に実習に行けたことが一番嬉しかったかもしれません。
私は臨床が好きなので、実際に現場へ行き、様々な方と関わる経験ができた時に大学院へ進学してよかったと思いました。

ー実習は公認心理師プログラムの一環ですよね。学部4年生の実習とは違うものなのですか?

学部生の実習は、基本的に見学という感じです。
病院内を見学することはできますが、患者さんと直接会ったり、話したりする機会はほとんどありません。
一方、M1になると、患者さんに検査を実施したり、直接お話ししたりすることができます。見学するだけの実習よりも興味深いことが多いですし、とても勉強になります。

ー大学院ではどのような場所へ実習に行けるのですか?

実習先によって、関わる人や経験できることはさまざまです。私が経験した実習を分野ごとに紹介します。

【S.Mさんが公認心理師プログラムで経験した主な実習】

司法分野の実習は、私が知る限りではなかったと思います。

実習先については、候補の一覧が配布され、その中から希望を提出します。最終的には、ほかの学生の希望との兼ね合いで決まるという流れです。

ー社会人になって身につく知識と、大学院生になって身につく知識について、どのように考えていますか?

一度社会人になってから大学院へ進学するのは、すごく良い選択だと思っています。
社会に出ると、実践的な知識や経験が身につきます。その中で感じた疑問を持って、もう一度理論に戻るという流れは、すごく理にかなっているのではないでしょうか。
例えば、社会人を対象とした研究をする場合、自分にも社会人経験があれば、実際の現場で何が起こっているのかを理解しやすくなります。もちろん論文を通して学べることもたくさんありますが、実際に社会へ出てみなければ分からないこともあると思います。

ー大学院で学んだことは社会に出てからも役立つのでしょうか?

心理学は、「人がどのように行動するのかを予測する学問」と説明されることがあると思います。それは、まさしく会社でも役立つことだと思っています。
私は卒業後、人事コンサルティングの仕事に就く予定です。人事制度を設計する会社なので、心理学との関連は特に強いと感じています。
コンサルティングの仕事では、何が問題なのかを整理し、人をどのように動かしていくのかを考えることが課題になります。そうした場面で、心理学の知識を生かせるのではないでしょうか。
また、この研究室では行動経済学の考え方も学ぶことができるので、それも仕事に役立つと思っています。

ー心理学を生かせることが、人事コンサルティングの仕事を選んだ理由なのでしょうか?

それも理由の一つです。
もともと心理学が好きだったので、心理学を生かせる仕事がよいと思っていました。
また、心理実習では、さまざまな人とディスカッションをしながら、患者さんが抱えている問題をどのように解決するかを考えます。その「問題を解決するために、いろいろな人と協働する」という部分が、コンサルティングの仕事と共通していると思いました。
実習に限らず、人間科学部では学部生の頃からグループディスカッションをする機会が多いです。そうした経験も仕事に生かせるのではないかと考え、人事コンサルティングを選びました。

ーキャリアを考えるうえでは、博士後期課程への進学や、公認心理師資格を使う仕事などの道もあったと思います。どのように比較し、進路を選びましたか?

博士後期課程については、研究を大変だと感じたことと、そろそろ社会に出たいと思ったことから、選択肢から外しました。
公認心理師資格を使う仕事に就くかどうかは、本当に迷いました。
ただ、まずは一度、会社という組織の中に入りたいという気持ちがありました。経済的な待遇の違いから民間企業を選びたいと思った面もありますが、将来的に公認心理師資格を使う仕事に就く可能性も踏まえて考えました。
私は、心理職に就くのであれば、大人の方を対象にしたいと考えています。そのとき、自分に社会人経験がなければ、相談に来た方の仕事上の悩みに十分寄り添えないのではないかと思いました。そこで、まずは民間企業で働く道を選びました。
公認心理師プログラムでは、さまざまな人と関わる経験ができますし、問題解決能力も身につくと思います。そのため、卒業後すぐに資格を使う仕事に就かないとしても、取得する価値はあると考えています。

ーこれまで大学院進学のメリット・デメリットについてお聞きしてきましたが、学部卒業後に就職する場合と比べると、大学院へ進学すると社会に出る時期が2年遅くなります。その点についてどのように感じていますか?

まず、会社の同期が自分より年下になることが挙げられます。
内定者懇親会に行くと、M2なんだという感じに少し距離をとられてしまうこともあるし、同い年の人は先輩なので仕事のスキルに差があります。「同期は年下で同い年は先輩という」状況に、焦りや少し複雑な気持ちを感じることはありますね。
あとは、ライフイベントとの兼ね合いもすごく難しいなと思っています。大学院を卒業する年齢を考えると、いつ結婚するのか、いつ子どもを産むのかということも気になります。例えば、新卒3年目頃に子どもを産んだら「もう産休?」と思われるのではないかとも思います。仕事とライフイベントをどのように両立していくのかについては、今も少し不安があります。

ー大学院進学に悩んでいる人に向けてのアドバイスをお願いします。

やりたいことがあるのであれば、あとは意外とどうにでもなるから大丈夫だよ、と伝えたいです。大学院進学を悩んでいるということは、何かしら大学院でやりたいことがある人が多いのではないかと思います。私の場合は実習でしたが、「このような研究をしたい」「大学院でこれを学びたい」という目標が一つでもあると良いと思います。私も、途中でお金が足りないなという時もありましたが、意外となんとかなりました。研究も何とか進めることができていますし、修士課程であれば修了を目指すことができると思います。
やりたいことがあるのであれば、大学院に進学してみてもよいのではないでしょうか。

今回で、S.Mさんへのインタビュー記事は終了です。研究編・生活編・キャリア編の3回にわたるインタビューを、お楽しみいただけたでしょうか?

なお、公認心理師プログラムに関する正確な情報や最新の内容については、人間科学部の公式ホームページなどをご確認ください。

今後も、院生さんへのインタビューや研究室の活動について、さまざまな記事を更新していく予定です!

そろそろ、学部2年生のみなさんは学系選択を終えた頃でしょうか。認知行動工学研究室に興味を持ってくださった方は、ぜひ研究室見学にお越しください。ご連絡お待ちしています👀